木と紙 2016 9 4

「裏山の木から自動車が作れる時代が来るかもしれない」

 木や紙というと、弱いというイメージがあります。
一方、鉄は、丈夫というイメージでしょうか。
 しかし、これは、固定観念です。
鉄は、さびやすい(酸化)という問題がある上に、
丈夫な鉄を作るのは、意外にも難しいのです。
そのうえ、鉄は、重い金属です。
 さらに、鉄には、「水素脆化」という問題があります。
鉄(鋼材)に水素原子が入り込むと、強度が落ちます。
 昔は、戦艦の大砲を作るときに、
「水素脆化」という問題に苦労したと聞いたことがあります。
 さて、裏山の木から自動車が作れる時代には、
まだ年数がかかると思いますが、
やがて、自動車どころか飛行機も作れるようになるでしょう。
 私は、子供の頃、裏山で巨大な椎茸を見て、
「この構造は、宇宙船に応用ができるかもしれない」と思いました。

2016年4月4日の日本経済新聞の電子版には、このような記事がありました。

鉄の5倍強いCNF 京都大学発の新製法でコスト10分の1

 軽くて強い植物由来の素材「セルロースナノファイバー(CNF)」。
樹脂と混ぜることで自動車部品などを軽くできる次世代素材として注目される。
 これまで製造コストの高さが課題だったが、
京都大学や王子ホールディングス(HD)、日本製紙は、
コストを下げつつ、樹脂と効果的に混ぜる新製法の開発にメドを付けた。
「京都プロセス」が開花すれば普及に弾みがつきそうだ。

強度は、鉄の5倍で、重さは5分の1 「裏山の木から自動車が作れる」

 京都市中心部から奈良方面に南下した京都大学宇治キャンパス(京都府宇治市)。
ここで3月23日、「次世代CNF」のテストプラントの完成式が開かれた。
建屋の中には、樹脂とCNFを混ぜる設備が並ぶ。

 「CNFが普及すれば、裏山の木から自動車が作れる時代が来るかもしれない」。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトのもとで、
プラントの建設を主導した京都大学の矢野浩之教授は話す。

 CNFの原料は木材だ。
木材の成分は半分が「セルロース」、残りの4分の1ずつが「ヘミセルロース」と「リグニン」だ。
まず木材チップからヘミセルロースとリグニンを蒸解して取り除き、
残ったセルロースを漂白してパルプにする。

 このパルプをさらに細かく解きほぐした素材がCNFだ。
幅は短いもので3から4ナノ(ナノは10億分の1)メートル。
鋼鉄の5倍の強度を持ちながら、重さは5分の1とされる。

 京都大学が王子HD、日本製紙、星光PMCから研究者を受け入れ、
共同で開発した「京都プロセス」は、パルプをシートに加工した後に、特殊な化学処理を施す。
 このシートを細かくして機械の中で樹脂と混ぜ合わせると、
その過程で繊維がナノレベルに微細化したうえで樹脂の中に入り込んで強度を高めるのだ。
このあたりのノウハウに京都大学の研究成果がある。
























































































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